不動産取引におけるオンライン契約のメリットと注意点

オンライン契約とは

不動産取引におけるオンライン契約とは、オンラインミーティングツールなどを使って、オンライン上で不動産物件の重要事項説明や賃貸借契約、売買契約を締結する方法のことです。

これまでは、不動産会社の担当者(宅地建物取引士)と直接会って調印する必要がありましたが、近年はインターネットの普及により、オンライン上で取引が行われることが増えています。

オンライン契約は、遠方に住んでいる方や時間的な制約がある場合など、様々なシチュエーションで利用されています。

オンライン契約にあたって法整備も進んでいます。

宅地建物取引業施行令等の一部改正(電子契約関連)

2022年4月22日に「宅地建物取引業法施行令及び高齢者の居住の安定確保に関する法律施行令の一部を改正する政令」等が閣議決定されました(施行日は2022年5月18日)。 主な…

オンライン契約のメリット

場所や時間に縛られない

不動産取引におけるオンライン契約のメリットの一つとして、場所や時間に縛られないことが挙げられます。

従来の不動産取引では、重要事項の説明や契約締結のために、不動産会社の事務所に出向く必要がありました。

しかし、オンライン契約では、インターネットを使って、いつでもどこでも契約が可能です。

特に、遠方に住む人にとっては、大変便利な方法です。

また、新型コロナウイルス感染拡大による経験により、他人と直接対面することに抵抗を感じる人もいるので、直接対面しないで良いというのもメリットです。

書類の作成・保管が簡単

不動産取引におけるオンライン契約のもう一つのメリットは、書類の作成・保管が簡単になることです。

従来の紙ベースの契約では、書類を作成するために膨大な量の印刷やコピーなどの手間が必要でした。

また、書類を保管するためのスペースも必要です。

オンライン契約では、パソコンなどのデバイスで書類を作成することができます。

書類の作成が簡単になることで、手続きのスピードアップや、必要な書類をすぐに提供できるなどのメリットがあります。

また、コピー用紙が削減されるのでエコになります。

また、データの保管についても、紙ベースの契約に比べてデータ容量の問題をクリアすることで、長期間にわたって保管することが可能です。

印紙税不要

不動産取引においてオンライン契約を行う場合、印紙税が不要となります。

紙の書類で契約をする場合、売買契約書に印紙税を貼り付ける必要があります(1千万円~5千万円の売買の場合は1万円の印紙税)。

しかし、オンライン契約の場合は電子的に契約書を作成・保存するため、印紙税の貼り付けが必要なくなります。

オンライン契約の注意点

セキュリティーの確保が必要

オンライン契約では個人情報や重要な書類が送信されるため、情報漏洩やハッキングのリスクがあるため、セキュリティー対策が必要です。

十分な確認が重要

契約書や重要事項説明書に記載されている内容について、十分に確認することが重要です。

特に、物件の状態や契約条件などが複雑な場合は、十分に理解しないとトラブルの原因になります。

署名・押印の取り扱いに注意

オンライン契約でも、署名や押印が必要となる場合があります。

この場合、デジタル署名や電子押印を利用することができますが、取り扱いには注意が必要です。

オンライン契約の将来性と課題

不動産取引におけるオンライン契約は、新しいテクノロジーを活用することで、書類の作成や手続きのスムーズ化、場所や時間に縛られずに契約ができるなどのメリットがある一方、システムの安全性や信頼性を確保するための技術的な課題もあります。


また、不動産業界においては、まだまだ従来の方法に慣れ親しんでいる人が多く、オンライン契約に対する抵抗感がある場合があります。


しかし、テクノロジーの発展やコロナ禍による非接触での契約ニーズの増加に伴い、今後ますますオンライン契約が普及していく可能性があります。