タワマン節税法はもう使えない?

平成バブル以前から使われてきた「タワマン節税法」が最高裁の上告棄却により否認されました。

タワマン節税法とは、「時価(実際の売買の金額)」と「相続税評価額」との差額を狙った相続税の節税対策です。

相続税評価額は通常、土地は路線価、建物は固定資産税評価で算出しますが、タワーマンションの場合、上層階に行くほど時価が上がります。

例えば、今回の裁判の場合、相続人の申告した相続税評価額が3億3千万円に対し、時価は13億8700万円になり、相続税がゼロになります。

もし現金で13億円持っていたら約3億円の相続税を支払う義務がありますので、約3億円の節税になります。

今回の裁判の争点となり、国税庁が相続人の相続税評価額を否認した根拠は、財産評価基本通達6項(総則6項)「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」になります。

これは「伝家の宝刀」と呼ばれ、これが使われたのは過去11年間でわずか9件だそうです。

「伝家の宝刀」を使われたら一巻の終わりだとしても、使われることは滅多にないのかも・・・

とはいえ、今まで税理士や銀行や相続コンサルタントなどが提案していた節税対策は、今後は提案しにくくなりそうです。

【裁判の経緯】

2017年に相続人が東京地裁に提訴し、2019年相続人敗訴し東京高裁に控訴。2020年に東京高裁でも相続人敗訴し、最高裁に上告。2022年4月19日最高裁でも相続人敗訴。